コロナ禍で俄かに『空調』が注目を浴び始めました。
そもそも『空調』とは『空気調和』の略であります。
室内の空気の状態を表す空気条件は、温度・湿度・清浄度・気流 の4つの要素に分けられますが、これら4要素を調和し、快適な室内空間を創り出す事が空調(空気調和)の役割です。
実は、空調機器として代表的な『エアコン』は4要素を全て満足させる万能くんではありません。
エアコンは、温度管理/湿度管理/気流分布に対しては一定の効果をもたらしますが、基本的には室内の空気を暖めたり冷やしたりしているだけですので、空気清浄についてはあまり得意ではありません。
(近年はルームエアコンを中心にその苦手を克服する製品も現れ始めてはいますが)
では、空気清浄に得意な機器はどういったものか?? それがまさに『空気清浄機』や『換気扇』になるわけです。
withコロナの時代では、4要素の中でもユーザーの関心が比較的低かったであろう清浄度 に対する意識が高まりました。
特に、はっきりと効果が感じやすいからか 換気に対する注目度は高い様に思います。
換気は当然、感染症予防にも繋がるでしょうし、また閉めっ放しの空間にずっといると二酸化炭素濃度が上がり眠気の原因になったりもします。仕事中や勉強中だと良いパフォーマンスが発揮できませんね。
その他ニオイやホコリ、ハウスダスト等もあり感染症云々の話を抜きにしても衛生上、換気は重要です。
一方で、快適な温湿度空間を保つ事と換気は実は相反する関係でもあります。
例えば夏のとても暑い日、換気の為に窓を開けっ放しにしてエアコンを動かすとどうなるでしょう??
エアコンには温度センサーが付いており、室内の温度を感知して設定温度を維持する様、機械を動かします。
屋外の空気が入ると室内温度は高くなりますので、設定温度を維持する為に機械はより一所懸命働く必要があります。
結果、冷房があまり効かなかいばかりか、高負荷がかかり機械寿命を早める事にも繋がりかねません。
快適な温湿度空間を保ちながらも換気も行いたい!!
ハードルの高い問題の様にも思えますが、こういった事情を解決するためにある製品が『熱交換換気』です。
熱交換換気は大別して熱と湿度に効果をもたらす『全熱交換機』と、熱のみに効果をもたらす『顕熱交換機』の2種類に分かれます。ダイキンさんの「換気でお店に元気をプラス」というcmを最近よく見ますが、それがまさにこの製品です。
尚、熱交換換気自体はさして目新しい製品でもなく、空調業界では古くから一般的に『ロスナイ』と呼ばれています。
これは三菱電機さんの商標でもあり、「温(+湿)度にロスがナイ」から『ロスナイ』というダジャレらしいです。
なかなかお洒落で面白いですよね!! ニクいね、三菱(笑)
ロスナイは比較的シンプルな構造です。
一般的な換気扇と異なり、製品内には給気用/排気用各々のモーターが内蔵されており、そのモーターで風を循環させ屋内外の給排気を行うのですが、その他に熱交換器も内蔵されています。
モーターによって給排気された空気を熱交換器でmixさせ、温(+湿)度のロスを最小化させているのです。
例えば、夏にエアコンをつけている状態であれば、屋外から取り入れる35℃の給気と屋内から排出する25℃の排気をロスナイで熱交換させ、35℃の暑い空気を丸々取り入れるのではなく、少しでも屋内の温湿度に近づけた状態で給気させてあげる事で、エアコンにかかる負荷を下げてあげてるわけです。正に『ロスナイ』ですね!!
特に屋内外の温度差が大きい冬にはより効果が大きい事でしょう。
という事を踏まえて改めてダイキンさんのcmを観てみると、なるほどね!!という気持ちで観れるのかな、と思います。
とはいえ、既設の建物、特に一般のご家庭ではまたイチから導入するのは工事費用等もかかり悩ましい所です。
多少ロスは発生し、また面倒かもしれませんが、定期的に窓を開けて換気を行うのがやはり現実的かもしれませんね。
その際、空気の出入口を出来るだけ離して且つ対角に換気経路を作ってあげると効率的な換気が取れます。
換気工事の際には、給気排気フードの高さ位置をずらして立体方面にも対角を作り、空気の流れをよくする事はあります。
その他の情報も含め換気については、三菱電機さんのHPが絵付きでとても分かりやすいですね。ご参考迄に掲載しておきます。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/ja/air/products/ventilationfan/about_ventilation/index.html